

住宅ローンの借入先には銀行や住宅ローン専門会社、自治体など、民間のものから公的なものまでいろいろあります。どの住宅ローンを利用するかを考える際に、まず気になるのは金利ですね。
住宅ローンの金利には、返済期間中の金利が一定の「全期間固定金利型」、経済や景気の動向に合わせて金利が変わっていく「変動金利型」、最初に決められた期間のみ金利が一定の「固定期間選択型」、金利の上限が決められている「上限金利設定」などいろいろな種類があります。さらに個々の金利の割合については、一定の条件を満たすこと、あるいは別のサービスと併用して利用することなどで低くなる商品もあります。
支払い開始後の金利の低さにだけとらわれるのではなく、それぞれの金利タイプの特徴をよく理解した上で、各社が提供するローン商品のサービス内容をチェックし、自分の経済状況やライフプランに合ったものを選ぶようにしましょう。
全期間固定金利型は、返済期間中の金利が変わらない住宅ローンです。金利が上下しても安心していられる一方、他の金利タイプに比べると金利がやや高めに設定されています。家を買った後に、子供の教育費の貯蓄や老後資金の積み立てなど、運用したい資金を手元に残しておきたいという人に向いています。
変動金利型は、景気の動向によって金利が変わる住宅ローンです。5年に1度返済金額を見直し、金利が下がれば返済金額も減りますが、金利が大幅に上昇する危険性もあります。金利が上昇する前に繰り上げ返済などをして、総返済額を抑えて短期間で完済しようと考える人に選ばれています。
固定期間選択型は、決められた期間中は金利が一定で、期間終了時に見直しをする住宅ローンです。固定期間が長いと金利は高くなるため、場合によっては全期間固定金利型を選んでもほぼ変わらない支払総額になってしまう可能性があります。家庭の収入が上がる時期、教育費のピーク時など支出が増える時期、子供の独立など支出が減る時期などを細かく計算できるのであれば、借入額の一部を固定期間選択型に、一部を変動型にするなどし、金利や返済額を抑える工夫をすることができます。
上限金利特約型は、金利は変動するがその上限が決められている住宅ローンです。変動金利よりも高い金利になりますが、大幅に上昇する危険性がないため、できる限り低金利で組みたいが、金利上昇にも備えたいという人に選ばれています。
注文住宅の場合、住宅ローンを申し込む際には、「土地の資料」や「家の建築プラン」の提示が必要になります。しかし、融資を受けてからでないと土地を購入することができず、プランや見積もりを出すことができずに困ってしまうケースも少なくありません。
土地購入と設計とローン申し込みは、どのような手順で進めればよいのでしょうか。大まかな流れについて解説いたします。
住宅ローンを利用してマイホームを建てる場合、これから建てる物件が融資の担保物件となるため、その家が完成し、引き渡しが終わって初めて融資を受ける条件が整うことになります。そのため、この融資金は着工金や中間金にあてることはできません。
そこでこれらの費用を自己資金で支払えない場合は、住宅ローンの融資が実行されるまでの間に「つなぎ融資」を利用します。つなぎ融資を受けている間は金利のみを支払い、その後に借り入れる住宅ローンでつなぎ融資で借りた金額を精算するという流れになります。
つなぎ融資は住宅ローンの借入れとセットでしか利用できません。また、すべての会社がつなぎ融資を取り扱っているわけではないので、必要な場合はつなぎ融資の有無もチェックした上で住宅ローンの借入先を選定しましょう。また、住宅ローンの一部として土地購入時と建物竣工時に分割で融資を受けることができる「分割融資」というのもあります。
こちらもそれぞれメリットとデメリットがありますのでよく調べてローンの組み方を模索してみてください。
住宅ローン控除とは、住宅ローンの借入れを行っている場合に一定期間ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれ、還付されるというものです。正式には「住宅借入金等特別控除」と言い、年末に住宅ローン残高に控除率をかけて算出されます。
この住宅ローン控除を受けるには、物件の取得日から6ヶ月以内にそこに居住していること、床面積が50平方メートル以上で、その家屋の2分の1以上が居住用であること、築20年(耐火住宅は25年)以内であること、といった要件を満たしていなければなりませんが、これから注文住宅を建ててそこに住む予定の場合は、床面積が50平方メートルでさえあれば必ず利用できるということですね。
こういった控除制度は景気によって変動する傾向にあります。これまでは景気が良いときには優遇処置が縮小され、景気が悪くなると優遇処置が拡大されてきました。日本経済が大きな赤字を抱えている今、今後もこの傾向が続くかどうかはわかりませんが、住宅ローンを利用するなら経済の動向にも十分注意を向けておく必要があります。
住宅ローン控除という仕組みについて知ると、住宅ローン減税を多く受けるために住宅ローンの借入を多くすると得になるのか?という疑問が浮かび上がってきます。
住宅ローン控除の金額は、「年末ローン残高の1%」なので、ローン金利が1%未満だったら、控除が受けられる金額のほうが多くなる、というのは、確かに間違いではありませんが、住宅ローンの借入額を増やすということは、住宅ローンを借りるためにかかる費用も増える、ということを忘れてはいけません。
住宅ローンを借りるためにかかる費用のうち、もっとも大きなものは、「融資手数料」と「保証料」です。このほかにも、抵当権設定登記の費用なども増えてきます。こうした諸費用も含めて計算する必要があるのです。
例えば、3,500万円の物件を購入する際に、3,500万円すべてを借り入れる場合と、500万円を頭金として自己資金から捻出する場合とを比較してみましょう。どちらも返済期間は35年、金利は0.75~1.5%の固定期間選択型、融資手数料は借入金額の2.16%、年収600万円の条件で算出しています。
結果、頭金を入れて住宅ローンの借入額を減らしたほうが、控除額は少なくなりますが、支払総額も少なくなるため、「お得」という結果になりました。
条件を変えて何パターンか計算してみると分かりますが、ほぼすべての条件で「借入額が少ないほど支払総額も少なくなる」という結果になります。
ただし、借入額が4,500万円を超えるケースや、年収が900万を超えるケースについては、住宅ローン控除の金額を大きく享受できるため、多く借り入れたほうがお得になる可能性があります。ご自身の借り入れ条件にあてはめて、算出してみることをおすすめいたします。