

注文住宅を建てたい、と思ったときにまずやるべきことは、どんな家にしたいかという具体的なイメージを持つことです。今の家よりも広いリビングがいい、明るい家がいい、お風呂に窓が欲しい、趣味の部屋を作りたい、などなど、まずは思いつくままに書き出してみましょう。
しかし、この時点ではどうしても自分が見たことあるものの中からしかアイディアは出てきません。新しい暮らしを充実したものにするためには、それまでの「普通」に囚われない柔軟な発想が必要です。そのためにはまず展示場に足を運んだり、カタログを見たりして、実際にそこで暮らすことを想像してみましょう。新しい具体的なアイディアをたくさん取り入れた上でイメージを固めていきます。そして夫婦間、家族間でそのイメージを共有しておくこともとても重要です。
どんな家にしたいのか、具体的に書き出してみる
展示場に行ったり、カタログを見たりして、想像してみる
夫婦間、家族間でそのイメージを共有しておく
家のイメージが固まって来たら、その家を建てるために必要な大まかな金額もわかってきます。その上で少し余裕を持って資金計画を立ててみましょう。多くの場合、住宅ローンの利用を含めた計画になると思いますが、ここで注意しなければならないのは、家族のライフプランと照らし合わせた返済計画を立てなければならないということです。
子どもの教育費や結婚資金、家族のだれかが病気になったときの治療費、家電や家具の買い替え費用、定年後の生活費など、家族構成やそれぞれの年齢によってランダムに大きな出費が発生することを想定して、それらにも対応できる返済計画を立てなければなりません。これを無視して月々の返済額を決めてしまうと、何かが起こったときにパンクしてしまい、その結果家を手放すしかないということにもなりかねませんので、ここは慎重に計画しましょう。
現在では民間の住宅ローンにもいろいろな種類があって、利用のしかたによっては低い金利で融資を受けられたり、病気や失業によって一定期間の返済が免除されたりなど、選択肢と利用方法が細分化されています。各金融機関の商品をしっかり調べてよく検討してから、できるだけ負担が少ない状態で利用できる方法を探しましょう。
注文住宅を建てるためにかかる総費用は、土地や建物の購入費だけではありません。各種申し込み時にかかる手数料や税金、引越し費用などの諸費用も、場合によってはかなりの金額になりますので、あらかじめ予算に計上しておくことが重要です。
毎月の収支だけでなく、将来の収支についても考慮し、予算を決める
土地代金や工事費用だけでなく、引っ越し費用や家具購入費なども予算に計上しておく
住みたい家のイメージや予算が明確化してきたら、いよいよ土地探しです。土地は暮らしのすべてを左右する重要な選択になりますので、自分たちのライフスタイルに合わせ、何を優先したいのか、条件や価値観など明確化し、慎重に決定しましょう。
土地の探しの方法は、大きく分けると以下の3通りあります。
インターネットを利用して、不動産会社のホームページなどから売土地の情報を検索することができます。自宅や外出先でもパソコンやスマホで簡単に土地探しができる一方、いつまでも売れずに残っている土地も多く掲載されているため、情報の取捨選択が重要となります。
不動産業者の営業店舗に直接行って聞いてみると、インターネット上で検索できるような土地の情報はもちろん、その他にも似たような土地をいくつか紹介してくれます。ただし、広告に掲載される前に売れてしまうような良い条件の土地などを、いわゆる「囲い込み」と呼ばれる手法で隠し持ち、なかなか提示してくれない業者は少なくありません。
家の施工を相談したい施工業者が決まっているなら土地探しの相談も合わせてしてみるのがおすすめです。土地・家・諸費用のトータルで見積もりを立ててくれるというメリットだけでなく、不動産業者が囲い込んでいる土地を買い付けられるよう交渉してもらえることもあります。
気になる土地があれば、「土地資料」をもらって集めておくようにしましょう。この後、施工業者にプランを作ってもらったり、ローンを組むのに必要になります。
必ずしも購入を決めてからでなくても、希望の土地と似たような広さ、条件の土地があれば、どんどん資料を手に取っておくのがおすすめです。
次にやるべきことはハウスメーカー選びです。集めた土地資料の中から特に気に入ったものを選んで、気になる施工業者にプランを作ってもらいますましょう。自分の家を建てるという人生の一大事業を納得の行く形でやり遂げられるかどうかはハウスメーカー選びにかかっています。ここで本当に良きパートナーと出会うことができたら、きっとその関係は一生モノになるでしょう。
まず家を建てる地域が栃木なら栃木で実績を挙げているハウスメーカーをピックアップします。また、最初に家族で話し合った新しい家のイメージに合わせて、例えば注文住宅を建てようと決めたなら、注文住宅に強いハウスメーカーでなければなりません。
ハウスメーカーにはそれぞれ得意な家づくりの傾向があります。初めて家を建てる人には何を基準にすれば「良い」ハウスメーカーを見抜けるのか、その判断が難しいところだと思いますが、1つは自分の建てたい家を建てる力のあるハウスメーカーかどうかということ。これが大きな目安となります。この判断のために、事前にどんな家で暮らしたいかという明確なイメージを持っておくことが重要なのです。
こちらの希望を話したときにどれだけ親身に相談に乗ってくれるか、どれだけこちらがわかりやすいように説明してくれるか、これによって信頼関係を築けるかどうかが決まります。例えばこちら側の希望を無視してローコスト住宅をやたらと勧めてくるようなハウスメーカーなどはやめておいたほうがいいでしょう。安心して家づくりを任せられる、信頼できるハウスメーカーを見つけること、これができれば家づくりは成功したも同然です。
購入したい土地や依頼したい施工業者が見付かったら、購入・契約に向けて、各金融機関などで住宅ローンの申し込みを行いましょう。金融機関によっては土地だけでもローンが組める場合もありますが、土地資料と建築プランを用意できないと申し込めない場合が多いので、各種書類の準備も忘れずに行いましょう。
「住宅ローン」と一口に言っても、金利はもちろん、その他の融資条件や手数料の違いなど商品は様々です。土地購入の仲介業者などが斡旋する「提携ローン」に決めてしまう人も少なくありませんが、これは自分で銀行の住宅ローンに申し込めば発生しないはずの「ローン事務代行手数料」というものがかかってしまうため、おすすめできません。ライフスタイルや収入に合った借り方、返し方をするためにも、ネット銀行の住宅ローンも含め複数の金融商品を比較検討し、最適な住宅ローンを選びましょう。
ローンを申し込んだら、設計着手金、建築着手金を支払い、工事請負契約を締結します。その後改めて希望条件や敷地条件などを反映した基本設計図、実施設計図が作られ、本見積書が提出されます。最終確認となりますので、コスト調整なども含め、じっくりと時間をかけて慎重に行いましょう。
設計・プランニングにおいて重視すべきポイントはたくさんありますが、特にオシャレに見える間取りというのは構造や作りが複雑なため、利便性の面でデメリットが発生しやすいと言えます。設計において、高い性能とデザイン性をいかにして両立できるか、というのはとても重要です。
単純に日々の暮らしをイメージするだけではなく、その土地土地の形状や周囲の環境に合わせた間取りという視点を持ってアドバイスをしてくれる経験豊富な設計士であれば、生活のクオリティを下げることなく、実現できる範囲でのオシャレなデザインを提示してくれるでしょう。
それでもどうしても取り入れたいこだわりの間取りがあるという場合には、デメリットの部分も説明してもらい、そのデメリットを補う方法もあわせて教えてもらうと安心です。
全ての確認を終えたら、いよいよ施工スタートです。完了までの一般的な流れは、以下の通りとなります。
地縄張りとは、建物の大きさの把握や部屋割りをするために、敷地に縄を張り、地面に印をつける作業です。このとき、工事の無事を祈る「地鎮祭(じちんさい)」という儀式を執り行うのが一般的です。地鎮祭では、神主さんへ、謝礼として3万円を支払うのが正しいマナーです。
基礎工事は、家の土台になる部分を作るための工事です。パワーショベルといった重機で基礎の底となる高さまで土を掘り、コンクリートを打ちます。この時点ではまだまだ出来上がりを想像できませんが、家の強度を決める大切な工事のひとつです。
木造住宅であれば、柱、梁、根太、屋根垂木、棟木といった構成材を組み立てていきます。まさに「家の骨組み」という感じで、完成した家のかたちがなんとなく分かるようになります。最後の棟木が組み上がる日に、「上棟式(じょうとうしき)」と言って、建て方工事の完了を祝い職人さんたちを労う式を行います。食事や酒を振舞ったり、謝礼金などを渡して、全体で15万円ほどかかるのが一般的です。
建物の外壁・天井・床など、外部に面する部分に断熱材を入れたり、屋根材や窓が取付けられ、外壁の塗装や装飾材、防水、左官工事、壁面や天井の塗装やクロス貼りなどの仕上げ工事、フローリング貼りなどの床面仕上げ工事、造作家具や建具などの工事と進んでいきます。
仕上がりの確認をし、問題が無ければ引き渡しとなります。新築建物の登記簿を作るための表示登記と、権利書を作るための保存登記の申請を済ませたら、新生活のスタートです。